4人が本棚に入れています
本棚に追加
「はい。これ飲んで」
美弥に紙パックの牛乳を渡された。
震える手でそれを受け取り、口へと運ぶ。
ごくり。
一気に飲み干した。
「落ち着いた?」
「ああ」
不思議と気分が楽になった。いや、視界がまともになったと言った方がいいだろう。
先ほどまでスケイルは、周囲が血塗られて見えていた。美弥を見た時は、真っ赤に染まった巨大なアリに見えてしまった。
なぜあんなふうに見えてしまったのか、それは分からないが、とにかく気持ちのいいものではなかった。
「美弥……。済まなかった」
頭を下げて謝る。謝って済むかどうかは分からないが。
「いいよ。なんとなく、分かるから」
これはどういう意味だろうか……。彼女にもこんなことがあったのだろうか……。
「今日は疲れたでしょ?もう寝ようか」
美弥に慰められ、少し情けない気持ちはあったが、確かに疲れた。肉体的疲労はそれほどないが……。
ぐきっ!
けのびをしたら肩がつった。どうやら肉体的にも精神的にも疲れているようだ。今日は休もう。
最初のコメントを投稿しよう!