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「実は俺、根っこの部分は天津人と同じなんだ」
言ってしまった。自分は地球人の敵であると言っているようなものだ。
「はぁ……」
だが美弥は、へぇそうなんだと言わんばかりな顔をしている。
「怖くないのか?」
「いやぁ、ふんどし一丁で言われても説得力ないから」
……忘れていた。今自分はふんどし一丁。純情乙女の心に傷をつけていないといいのだが……。
「まぁいいや。それで?」
「ああ、俺は天津人とちょっと違うのは、あいつらの世話や武器製作のための作業員として造った。言わば奴隷なんだ」
そう。別に好き好んでふんどし一丁でいるわけではない。いや気に入っていないと言えば嘘だが、これ以外に服がないのだ。
「はぁ……」
「だからそんな生活まっぴらだから、ここに匿ってもらいにきた!」
アホだ。ここにアホがいる。ふんどし一丁で天に拳を掲げ大声で叫ぶアホがいる。
「分かった。んじゃあ行こうか」
美弥に引っ張られ、妙な部屋についた。一見すると女の子の私室なのだが、ゲームやフィギュア、漫画など、オタク系のものが多かった。
「これあげるよ」
彼女から手渡されたのは、ライダースーツのようなものと、マント、そして、人間の頭蓋骨だった。
「これは?」
平然と質問してしまうスケイルもどうかと思うんだが。
「逃げてきたなら、それで顔を隠すといいよ」
彼女なりの心配りだったようだ。ありがたく受け取ろう。
「ありがとう」
こうして、スケイルの奇妙な日常が幕を開けた。
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