-離婚-

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3ヵ月後、父は出張で私の病院の付添いは出来なかった。 病院の外来前で、私は “今はかよちゃんと着てるけど、これからは1人で行かないとならない時が来そう”と、感じた。 MRIを受け、澤村先生に呼ばれるまでの間、私達はずっと無言だった。 きっとかよちゃんも同じ様な事を考えているんだ。 蘭がちゃんとしっかりしないと、かよちゃんが落ち込んでしまう。 「かよちゃん? 蘭は大丈夫だからね」 「蘭……」 しばらくしてから、澤村先生に呼ばれた。 MRI画像を診ていた。 「あれ?」 先生の言葉にドギマギする。 澤村先生は、三か月前の写真を見比べて診ていた。 「腫瘍が小さくなってるね」 「「え?」」 同時に声が上がった。 「蘭さんの脳腫瘍が、小さくなってるんだよ。 もしも腫瘍が大きくなったら、緊急に即入院と手術準備を用意していたんだけど。 僕も多く脳腫瘍を診てきたけど、腫瘍が小さくなるのは見た事なかったな」 まさに奇跡な出来事だと話していた。 「でも、膨大になる事もゼロじゃないので、1年に1回は検査していこう」 先生は、前回と今回の検査の紙をコピーして私にくれた。 確かに、素人の人間でも分かるくらい脳腫瘍に変化が見られた。 良性の脳腫瘍らしい。 先生が言うには、良性でもとびっきりお利口な腫瘍だと言っていた。 まあ、腫瘍がある時点で利口ではないけど、冗談を入れて話していた。 病院を終え、父に電話して検査報告した。
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