-離婚-

15/16
前へ
/122ページ
次へ
その日に、頻繁にその女からの電話は鳴りっ放しだった。 痺れをきらしたかよちゃんは父を問詰めた。 私が電話に出た前にも、知らない女から電話があったようだった。 父が言い放った言葉は未だに覚えていた。 「俺はもうお前らに縛られたくないんだ! 働いても働いても1人は金掛かるし!! 蘭にも縛られてるみたいでイヤなんだよ!」 母は…… 「蘭って……蘭はパパの娘なんだよ……」 部屋から聞こえた父の言葉に本性なんだと思った。 私は茶の間に行き…… 「パパは、蘭なんか望まれない子供なんだ」 父が焦り始めた。 「蘭違うんだ…… 言葉の危というか……」 「でも、危だとしても思っていたんでしょ? 蘭が病気じゃなかったら、浮気しなかったとでも言うの? 蘭だって!! 麗みたいに健康な子じゃないけど、健康な子じゃなくって悪かったね!! こっちだって好きで病気や腫瘍になったんじゃない! かよちゃんを哀しませるパパなんか大嫌いだ!」 バン!と、ドアを思いっきり締め自分の部屋に居た。 外からは、ムックが私を呼んでいる声がした。 窓を開ければ、すぐムックの側に行けるから、ムックの元へ行った。 「ムー…… 蘭だって好きでこうなったんじゃないのに…… パパなんか大嫌いだ……」 私の愚痴を聞いていたムック。 私の様子を窓から見ていた父。 ムックは父の姿を見るなり、牙をむき出しながら唸り始めた。 私が泣くと、庇いの体勢になる。 父はそれから私に謝ってはくれたが許せなかった。
/122ページ

最初のコメントを投稿しよう!

366人が本棚に入れています
本棚に追加