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一般病棟に移ったとはいえ、油断は出来ない。
ナースステーションの隣にある病室にはいった。
外はいつの間にかに冬だった。
手術してから今まで食事をとっていない。
全ては点滴からの栄養剤だった。
普通食は、今の自分に負担がかかる。
物を噛む事で頭の小さいな血管が切れる恐れがあるからだった。
自分の中では初めてのミキサー食。
-コンコン-
入口にはちょっこんと覗く麗の姿。
「蘭ちゃん♪麗きたよ」
「麗ちゃん」
すごく嬉しかった。
麗に会うのは半年振りだったからだ。
「頭いたい?
おめめ大丈夫?」
「うん♪」
ちょうど大浦医師と私の担当看護師がきた。
先生は大事な話があるそうだった。
「術後よりはやっと安定してきます。
安心してもよろしいです」
「じゃあ蘭は一人でも大丈夫なのですね」
「私たちがいますからね」
親と先生の会話をきいていた。
小さいのでまだわからないと思っていたに違いない。
母親に背中を向けて、
涙をこらえた。
ママ帰っちゃうの?
また……置いていちゃうの?
イヤだよ……
「蘭、ママ帰ってもいいかな?麗もパパも待ってるから1人でも大丈夫?」
泣いたらママが困る。
「…………蘭1人でも大丈夫だもん……」
蘭も一緒にお家に帰るなんて言えなかった……
「蘭はお利口さんだね」
「…………」
「では1週間だけは蘭といます」
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