-手術-

5/9

366人が本棚に入れています
本棚に追加
/122ページ
一般病棟に移ったとはいえ、油断は出来ない。 ナースステーションの隣にある病室にはいった。 外はいつの間にかに冬だった。 手術してから今まで食事をとっていない。 全ては点滴からの栄養剤だった。 普通食は、今の自分に負担がかかる。 物を噛む事で頭の小さいな血管が切れる恐れがあるからだった。 自分の中では初めてのミキサー食。 -コンコン- 入口にはちょっこんと覗く麗の姿。 「蘭ちゃん♪麗きたよ」 「麗ちゃん」 すごく嬉しかった。 麗に会うのは半年振りだったからだ。 「頭いたい? おめめ大丈夫?」 「うん♪」 ちょうど大浦医師と私の担当看護師がきた。 先生は大事な話があるそうだった。 「術後よりはやっと安定してきます。 安心してもよろしいです」 「じゃあ蘭は一人でも大丈夫なのですね」 「私たちがいますからね」 親と先生の会話をきいていた。 小さいのでまだわからないと思っていたに違いない。 母親に背中を向けて、 涙をこらえた。 ママ帰っちゃうの? また……置いていちゃうの? イヤだよ…… 「蘭、ママ帰ってもいいかな?麗もパパも待ってるから1人でも大丈夫?」 泣いたらママが困る。 「…………蘭1人でも大丈夫だもん……」 蘭も一緒にお家に帰るなんて言えなかった…… 「蘭はお利口さんだね」 「…………」 「では1週間だけは蘭といます」
/122ページ

最初のコメントを投稿しよう!

366人が本棚に入れています
本棚に追加