366人が本棚に入れています
本棚に追加
/122ページ
私が意識を取り戻したのは、その一週間後だった。
左頭が凄く痛い。
「蘭ちゃん目覚ましたのね」
「ここどこ?」
「病院よ?頭どう痛い?」
「パパとママどこ?」
「今先生のお話を聞きに行ってるよ」
ちょうど先生がはいってきた。
「目が覚めたみたいだね。手術は成功したよ」
「…………」
先生が成功したと聞いた時、自分は“何で?”と思っていた。
入院したらお金いっぱいかかるのに……
入院なんかしたくなかった……
なんで先生は助けたの?
蘭なんかいなくなった方が、ママはお金に困る事もないのに…と……
そう思っていた時。
「蘭ちゃん」
「紀子先生?」
先生は泣いていた。
「良かった…無事で良かった」
なんで先生がなくの?
「先生ごめんなさい」
「先生蘭ちゃんを助けてあげれなくってごめんね」
大浦教授が。
「蘭ちゃん…ここ(左頭蓋骨)の骨が壊れちゃったの。だから、骨の変わりに金属を入れてるから慣れるまで時間がかかるからね」
「はぃ…」
又も入院生活が始まった。
紀子先生は学校が終わった後に病院へと来ては勉強を教わった。
先生は新しいノートを買ってくれて好きに使うといいとまで言われた。
大きくなったら漫画の書く仕事につきたいと思った。
ぎこちない絵や文を書いて、先生はそれを読んでくれた。
季節の変わり目で体調も余り良くはならなかった。
蘭には二回目の手術が迫っている。
…体調が悪ければ、手術が延長に何度もあった。
蘭の担当看護婦さんがきた。
「蘭ちゃん8歳のお誕生日おめでとう」
皆がお祝いしてくれた。
気付けば3月だった…
ノートや鉛筆だった。
色鉛筆もあり、折紙やパズルもあった。
プレゼントのもので色を塗ったりしていた。
しばらくしてから紀子先生が見舞いに来てくれて、学校の話をしてくれた。
蘭は3年3組で麗が4組だとも教えてくれた。
ノートに絵を書いている時に、ふと気付いた事があった。
絵よりも字の多さに気付いた。
試しに字だけを書いていたら。
「蘭ちゃんは将来小説家かしらね」
と、看護婦さんがいった。
「しょうせつか?」
「今蘭ちゃんがしている事を小説っていうの♪
蘭ちゃんは国文科が得意なんだね♪将来が楽しみだわ」
私が生まれて初めて文だけの小説を書き始めたのが8歳の時で、自分が過去にあった事を記したのもこの時からだった。
最初のコメントを投稿しよう!