-3回目の手術-

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私が意識を取り戻したのは、その一週間後だった。 左頭が凄く痛い。 「蘭ちゃん目覚ましたのね」 「ここどこ?」 「病院よ?頭どう痛い?」 「パパとママどこ?」 「今先生のお話を聞きに行ってるよ」 ちょうど先生がはいってきた。 「目が覚めたみたいだね。手術は成功したよ」 「…………」 先生が成功したと聞いた時、自分は“何で?”と思っていた。 入院したらお金いっぱいかかるのに…… 入院なんかしたくなかった…… なんで先生は助けたの? 蘭なんかいなくなった方が、ママはお金に困る事もないのに…と…… そう思っていた時。 「蘭ちゃん」 「紀子先生?」 先生は泣いていた。 「良かった…無事で良かった」 なんで先生がなくの? 「先生ごめんなさい」 「先生蘭ちゃんを助けてあげれなくってごめんね」 大浦教授が。 「蘭ちゃん…ここ(左頭蓋骨)の骨が壊れちゃったの。だから、骨の変わりに金属を入れてるから慣れるまで時間がかかるからね」 「はぃ…」 又も入院生活が始まった。 紀子先生は学校が終わった後に病院へと来ては勉強を教わった。 先生は新しいノートを買ってくれて好きに使うといいとまで言われた。 大きくなったら漫画の書く仕事につきたいと思った。 ぎこちない絵や文を書いて、先生はそれを読んでくれた。 季節の変わり目で体調も余り良くはならなかった。 蘭には二回目の手術が迫っている。 …体調が悪ければ、手術が延長に何度もあった。 蘭の担当看護婦さんがきた。 「蘭ちゃん8歳のお誕生日おめでとう」 皆がお祝いしてくれた。 気付けば3月だった… ノートや鉛筆だった。 色鉛筆もあり、折紙やパズルもあった。 プレゼントのもので色を塗ったりしていた。 しばらくしてから紀子先生が見舞いに来てくれて、学校の話をしてくれた。 蘭は3年3組で麗が4組だとも教えてくれた。 ノートに絵を書いている時に、ふと気付いた事があった。 絵よりも字の多さに気付いた。 試しに字だけを書いていたら。 「蘭ちゃんは将来小説家かしらね」 と、看護婦さんがいった。 「しょうせつか?」 「今蘭ちゃんがしている事を小説っていうの♪ 蘭ちゃんは国文科が得意なんだね♪将来が楽しみだわ」 私が生まれて初めて文だけの小説を書き始めたのが8歳の時で、自分が過去にあった事を記したのもこの時からだった。
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