-イジメ-

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自分の生誕日に、1983年代に作られたハローキティの手提げ鞄。 今じゃ絶対に手に入らないモノで、かよちゃんが学校でも使える様に買ってくれたもの。 ランドセルはボロボロになっても、これだけは守らなければと当時思っていた。 先生が蘭が帰ろうとする度に、それを引っ張るから持ち手の手摺がとれる事もあった。 大事に汚さずにしていた手提げ鞄がボロボロになっても、慣れない手でお裁縫した時もあった。 蘭が寝た時に、かよちゃんが仕事から帰って来て、蘭が手提げ鞄を抱いて寝てる姿を手提げ鞄をそおっと持って行った。 ないのに気付き、起きて…探したら茶の間が明るく、隠れながら、みてみると…パパとかよちゃんが話していた。 ママはお仕事で疲れてるのに、蘭の鞄を縫い直してくれていた。 「蘭が大事にしてる鞄…… 紐がボロボロになっても、使ってるんだ」 「紐がちぎれるぐらい物を詰め過ぎなんだ。 物を大事に扱わないから」 「パパ… 蘭はね、物を大事にする子だよ。雄武に来るまではこんなにボロボロじゃなかったもの。小さい頃、お気に入りの布団や人形がボロボロになっても大事にしてた子だもん」 「あいつが縫い物したのって、5歳か4歳だったな…… 大事な布団の布が破れて、かよがゴミ袋に入れたのを拾っては縫い物したの。見た目がボロボロだから、縫い物すれば捨てられないと思ったんだよな」 「そうそう。お人形のギンギンさん(蘭がペンギンにつけた名前)があまりにも臭いから、蘭がいない時に捨てた時は大泣きして、“ママなんか恨んでやる”って2歳の時には言われた時はビックリした事もあったね (笑)」 「たしかに…あれ俺が捨てたんだよな (笑)お気に入りの物への執着心はそこから来たのかのな」 「パパ蘭ね…学校でイジメにあってるの」 「そうか…お前が蘭が病気が分かった時に言ってたな… いつも明るい蘭がないとは思っていたが、やっぱりそうなのか」 「…うん」 「なんとかしてあげたいな」 かよちゃんは蘭が思ってるほど、蘭の事を思ってくれるんだ。 その後…ベットに戻った。 次の日、机の上にキティの鞄があった。 昨日の事を日記に書いて、学校に行く用意して茶の間へきた。
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