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転入してから、秋を迎えようとしていた。
あれから、2ヵ月しか経ってなかった。
自分にしてみれば、凄く長い毎日。
精神的にストレスが原因で、 円形脱毛症になっていた。
そのせいで、皆からは新しい呼び名が増えた。
“ハゲ女”
かよちゃんは薬の副作用だと言うが、薬の副作用なんかじゃないとわかっていた。
小さい時からずっと変わらない薬を飲んでいるから、急に副作用なんかでるとは思えなかった。
精神的に追いやれた自分がやったのがリストカットだった。
浅い傷から、深い傷へと、右手首を傷付けていた。
リストカットした事がある人ならわかるとは思うけど、本当に痛みがない。
切っても切っても、血が出ても痛みがない。
なぜられた様な感じ…咄嗟に我に帰った時には、もう遅かった。
血がポタポタと流れてるのをみていた。
自分は何をしていたのか…
どうして血が出てるんだろう?
死ぬつもりなんかなかった…ただ…ただって?
あれ……でも、何だか、これをしてる時、心が一時(いっとき)落ち着いていた。
それが学校に帰っては、リストカットする日々。
1日を耐えたんだと言う証に傷付けていた。
古い傷の上から、切っていた。右腕までも傷を付けていた。かよちゃんにバレない様、リストバンドした事もあった。
日にちを置けば、治っていく傷口。
“なんで!!治ってんだよ!!
治らないでよ!!気に食わないな!!”
でも何日か経った時、リストカット中に母にバレた。
「蘭!!何やってるの!!
止めなさい!!」
「離して!!蘭の腕だもん!!
すきやったっていいじゃん」
「止めてよ!!
その体を生んだのかよ子なんだから、勝手な事しないでや」
かよちゃんが蘭を抱き締めてくれた。
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