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「どうして?」
「だって…蘭は後1年半で,この小学校卒業するから…」
大好きな先生とまた一緒に居られるのは嬉しいに決まってる。でも…またバイバイしなきゃならないのがあると思うと、それがイヤだった。
「蘭ちゃん…蘭ちゃんはこの病気は嫌だかい?」
「イヤだ…蘭好きで持ったんじゃないもん。何で麗は、蘭の病気を持ってないの?双子なのに…」
「…う~ん。神様は、蘭ちゃんなら耐えられると思ったんだよ?麗ちゃんには無理だと思ったのかもね?」
校長先生も…かよちゃん達と同じ事を言った…
“神様は蘭なら耐えられる”
そんなの神様が勝手に決める事じゃん。
こんな弱い蘭が、耐えられる訳ないもん。
「蘭ちゃん、この世の中にはね、病気と戦って居る人がたくさん居るんだよ?蘭ちゃんも病気と戦って居るんだよ?」
「戦う?」
「蘭ちゃんは今まで入退院を繰り返してきたでしょ?それを戦ってるっていう証拠」
私はノートを出して、さっき校長先生との会話を書いた。
「それ何かな?」
「コレ?蘭が大人になったら見るの」
「先生見ても良いのかな?」
「いいよ」
先生はノートを見た。
「蘭ちゃん。先生もここに、未来の蘭ちゃんへのお手紙書いてもいいのかな?」
「いいよ」
先生は書いた。
“未来の蘭ちゃんへ
素敵な思いやりのある子になってね。
いつか蘭ちゃんが、病気と向き合えるよう強い子になりますように…
1993年11月5日
沼田 蕃校長”
そう書かれていた。
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