-生誕-

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「そうですか…… 蘭ちゃんはフォン・レックリングハウゼン症という難病かもしれません」 「“かも”とは?」 「詳しくは分からないんですけど、もっと詳しく調べる他ありません。 何せ珍しいので、ここに入院するレックリングハウゼン症の患者や症例がないんです。 いったん蘭ちゃんのご家族を呼ばれた方がいいです」 母の姉は愕然したいっていた。 どことなく 自分の幼い頃によく似ているこの蘭が、病気なんて……何にも分からない蘭は、人見知りなく母の姉にニコッと笑かけていた。 かよ子に何て言えば良いのかか…… でも…隠す訳にはいかない。 母の姉は、一部始終を語った。 当然…… 母も父もショックを隠せなかった。 信じられない…… 「お姉ちゃん……冗談でしょ?蘭が、蘭が病気なんて……嘘だよね!?」 「嘘じゃないわ。 孤発から発症しているみたいだから、一応麗も診てもらった方がいいわ」 その夜から……母は泣いた。 「かよ……いつまで泣いてるんだ?」 「パパは悲しくないの? 自分の娘が病気かもしれないんだよ? パパは平気なの?」 「……平気な訳ない」 「大きくなったら、きっと学校でいじめられる。 かよ子にはわかる」 「でも……お前が泣いて、蘭の病気が治る訳でもないんだぞ?」 蘭とかよ子だけ“死”考えていた……と、話してくれた。 蘭が物を覚えて、思春期を迎えたら……レックリングハウゼン症という難病のせいで人生を狂わす。 そんな蘭の姿を見ていられない。 でもパパはママに言った。 「かよ……お前や蘭が死ねば、残された麗はどうするだ? 母親の顔も知らない。 自分の双子の姉の蘭の顔も知らない……残される麗の気持ちどうなるんだ?」 「じゃあ、かよ子が病気に負けない様に育てる」 母はそれ以上何もいわなかった。 母はいっていた。 パパは大人だと感じたそうだ。 でもそのパパは私の前ではけして泣かなかった。 泣いてたのは布団の中で…… 共に親がいない父と母にすれば、誰にも相談出来なかった。 元々、子供が大好きで、自分の子供が出来て、望んでいた女の子……しかも双子。 感無量だった。 でも最愛の娘が病気に犯されていると思うと胸が苦しかった。 自分は娘の蘭に何もしてやれない……と……
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