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一つは、3年間ずっと、眼帯する覚悟。元々見えていない左目を眼帯で隠す覚悟は既に出来ている。
でも、最初は私が眼帯しても“めっぱ”で眼帯していると思うだろうが、1年2年になれば変だと勘づかれる不安。
あともう一つの不安は……自分の学年に同じ学校に行く人がいる事だ。もし、いたとして眼帯している自分が、同じ出身校の生徒が言う事も有り得る。
「先生……ほんとはこんな事聞くのはダメなのは分っているんですが、興部高学校に蘭と麗の他誰が受験してるんですか?」
「蘭ちゃんなら教えても良いかな。蘭ちゃんのクラスには蘭ちゃん以外はいないよ。麗ちゃんのクラスは麗ちゃんと島くんだけです」
島くんだけか。
島くんは小学校から一緒だった男の子。中学校入ってからは麗と同じクラスになっていた。
雄武に引越しして、外で遊んでいた時、同級生の男の子2人組と公園でよく遊んでいた事を思い出した。
蘭の病気の事は聞いても、普通に接してくれた。
一番仲が良かった山城くんという男の子が引越してから、あんまり喋らなくなっていた事を思い出す。
イジメに一緒にやる事もせず、ただ物静かな男子に見えた。
「島くんが、もし学校で言う事もあるかもしれない」
と、先生は言ったが、私はそうと思わなかった。
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