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「蘭ちゃん大丈夫かい?簡単な手術だからすぐに終わるからね」
「はい。お願いします」
手術開始。
全身麻酔で行われた。意識がブッ…と失われた。しばらくしてから、意識朦朧の中、まだ手術の中だった。
「丸山さん手術終わりましたよ。今から、病室に戻りますからね」
「有難うございます」
病室へと運ばれる時、一般病棟へと案内された。
近くに、かよちゃん…パパ、麗の姿。かよちゃんの姿が見え、ピースをする。
かよちゃんは、安堵していた。
麗は…
「かよちゃん、蘭なんでピースしたの?」
「蘭が小さい時に、手術室から帰ってくる時に意識があっても喋れないでしょ?蘭は、ママ達に分りやすい様に、“蘭は意識あるよ、元気だよ、大丈夫だよ”っていう証拠の為にピースするの」
「そうなんだ」
病室のベッドの上で、酸素マスクをしながら、麗の顔を見た。酸素マスクは相変わらずなれない。苦しいし、顔半分、頭が痛い、必死に声を出したいのに出せない。
その姿を初めて、目の当たりした麗はショックで涙を流していた。
そんな麗の姿を見た父が。
「なんで泣くんだ?」
「蘭を見て……なんでこうなんだろうって麗小さい時、蘭の所に行けなかったから、痛たそうだなって…」
「お前のお姉ちゃんは強いんだよ」
と…母の声。
麗の声、弱々しくそう言った。急に刺激が強かったかもしれない。麗が涙を流すって事はほんと何も知らなかったんだ。
でも、良いきっかけなのかもしれない。
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