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「へぇ~じゃあ、それ抜くの痛いの?」
「痛くはないけど……目の抜糸が一番痛いかな」
「痛いの……?」
「痛いけど、蘭が我慢すれば良いしね」
母が。
「あ…そう言えば姫いるんだよ」
「え?ひーちゃんいるの?
姫に会いたいなぁ」
「ダメ、手術して間もないんだから」
「先生は歩いちゃダメって言われてないんでしょ?」
「窓越しで良いから、見たいよ。見たらちゃんと部屋に戻って大人しくいるから」
「……しょうがないな。少しだけだよ」
もうそうと言えば、後は行動するのみ!手術終わって3時間で、手術したのが嘘のかの様な回復力。
過去の手術経験から体に免疫が付いたのか、異様な回復力だと思う。いや、違うか…今回の手術が軽いだけかもしれない。
夜…両親と麗が帰る時、一緒にエレベーターに乗り外来病棟へ行く。
走って麗がひーちゃんを連れて来てくれる。ひーちゃんと会うのは2週間ぶりだった。
ひーちゃんは私を見るなり、尻尾がちぎれるくらい尻尾を振り、硝子越しにカシャカシャと爪を立てていた。
あ、そう言えば…10年前に入院した時、北大で撮った蘭の写真を爪で掻いた様な後があった。
かよちゃんにどうしてこうなったかの経路を聞いたら、写真を見せたら、やったんだと話してくれた。
「ひー?ひーちゃんも来てくれたの有難うね」
姫は、もうおばあちゃんになっていた。歳は13歳。
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