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すぐに動物病院へと運んだ。
内臓は破裂して、肋骨も折れ……心臓へのダメージが酷く、胃にも半分破損していた。
医師に告げられたのは、安楽死だった。
手術して成功したとしても、下半身不随や2年は持たないし、介護が必要とも言われた。
手術するともなれば、多額のお金が必要になる。
私には迷いがなかった。
ムックが轢かれても、私の腕の中に来た姿を思い出したから。
「せんせ、ムック助けて!ムックを殺さないで!ムッちゃんは最期まで見るって約束なの!安楽死にしないで」
ムックはピクピクと耳を動かし、医師にウゥ~と唸っていた。
ムックは昔からそうだった。
私が怒られた時には必ず庇いの体勢を作っていた。
怒っている相手の服をかじり、やめろー!と止めてくれる。
私が泣くと、相手に噛み付く勢いを見せる。
大怪我を負っているのに、それでも私を守ろうとしていた。
「ムッちゃん大丈夫だよ。ごめんね、痛かったね」
ムックは私の顔を舐めてくれた。
先生は私達の姿を見て。
「ムック君も生きたいよね。先生出来る限りやってみましょう」
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