君の手

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そう言って彼は消えてしまった。 強く握っていた筈の彼の手の温もりも無い。 彼が此所に存在していた証拠も何もかも―――無い。 「ねぇ、僕笑えてる…?」 彼に問い掛けても答えは返って来る事は二度と無い。 『何やってんだよ?』 『バカだなぁ、瑞希は』 『俺は、瑞希が好きだ』 僕に笑い掛けてくれる事も、バカにする声も、真剣な表情で告白してくれた彼は もう、居ないんだ… 「…ふっ…ぅ…」 僕の目の前から急に居なくなったかと思えば、他の人には見えなくなってまで帰って来たのに。 どうして、一週間しか居てくれなかったの? 貴方は意地悪だね… これ以上僕の元に居たら僕が前に進めないって事を知っていたんだから… なら、僕は前に進まないといけないね。 それが、約束だもん。 「泣くのは今だけだから…そうしたら前に進むから。でも、これだけは言わせて…?  ……―――僕も遥斗が大好きだよ」  
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