僕が彼女を殺した理由

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半身を起こした圭一郎を、亜季は睨み付けた。次はないからな。そんな時間すら凍りつくような一瞥に圭一郎は慌てて視線を逸らす。 「ミカこれどーする?」 ミカは渡されたシャープペン、ポケットから自分のペンを取り出し床に叩きつけ、さらに踏みつける。無残に砕けた二本のシャープペン。 「キモ」 一度も振り返るそぶりもなく立ち去る二人、去り際の会話が聞こえてくる。 「え、あいつ2本も持ってたの?キモイね」 「でしょ?」 後ろにいた亜季からは死角でミカがペンを取り出した事は見えない、 ミカは自分のペンを圭一郎のモノという事にしたのだ。その事を亜季は気付く事はなかった。 亜季は信じやすいのだ。この会話から圭一郎は予測がついた、その亜季の彼氏が見たって言う嘘を信じたのだろう。 さらには。亜季なら適当にごまかせると思い、ミカもペンを踏む時にどうどうと自分のペンもまぜる事ができたのだと。 う・・・。 圭一郎は突如こみ上げる吐き気に襲わる。ふらつく足でトイレに駆け込む。泣き声はトイレの音にかき消された。 それから卒業するまで生きた心地しなかった。
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