僕が彼女を殺した理由

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彼女の席は窓際の前から3番目、圭一郎は4列離れた中央よりの席だ。 その窓際より射し込む西日が彼女を包み込む、黒髪が夕焼けに染まり、オレンジ色の瞳は真っ直ぐ黒板を見つめている。 圭一郎の目には一層幻想的に映っているだろう。それは恋しいという恋の魔法がかかっているのだ。 時折ペン尻を唇に当て考える癖を見て、わざわざ探し回り同じペンを買ったのだ。書きやすいなど考えてもいなかった、ただお揃いの物が欲しかっただけの事。 日に募る想いを大事にすることが窮屈な授業から救い出してくれた。 そんないつもと変わらぬ昼休みの事、お弁当を広げようとした時、ダンッと圭一郎の机を両手で叩いたのは友達ではなく、ショートカットが良く似合うボーイッシュな女子がいた。 「ちょっといい?」 圭一郎は思ったより大きな音で驚いたのもあったが、一度も話した事もない女子が、血相を変えている事態にたじろいでいた。 動揺する時間は圭一郎には与えられなかった、何故ならその女子が圭一郎の腕をつかみ教室の外へ引きずりだしたからだ。
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