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「お前、ミカに謝れ」
圭一郎は亜希が言った意味がわからなかった。解ろうとすら考えれないのだ。
愛しい彼女が間近にいる、ただそれだけでこの場から逃げたい思いが勝り、亜希の言葉が入ってこないのだ。
トンと鼓動が跳ねる、耳の奥で脈打つリズムが早くなるのを感じた。
目のやり場に困り、2人の間に逃げる。ミカが亜希の左腕にしがみつくのが見えた。
「携帯みせろよ、・・盗撮男」
亜希は言葉を区切ると、ミカを見てから続けた。ためらったのだ。この言葉でミカを傷つけるのではないかと、言葉のセカンドレイプにはならないか、と。
圭一郎は絶句している。それは、亜希の荒い言葉遣いのせいではない。
目の居場所ができた事で、ようやく冷静になれたのだが、身に覚えの無い言いがかりに言葉を失っていた。
「おい。なんとか言えよ」
何も言わない圭一郎が亜希の逆鱗にふれる、いよいよ穏やかではなくなっていく姿を見て「亜希・・」と消え去りそうな声で袖を引くミカ。
「あたしの彼が見てるんだからな。お前がミカのスカートの中を盗撮してる所!」
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