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「…ぎさ!渚!中澤なぎさぁ~!」
「んー?」
「もー!寝てたの?!大変だったんだからっ!」
「美紀かぁ…なにがー?」
友達の美紀に起こされた私。
気がついたらHRが終わってたみたい。
なんだか
クラスがざわついてるなぁ。
「全く渚はっ!クラス見に行くよっ!」
「へいへーい」
青南陵高校は数学と英語に力を入れている。Aクラスは優秀ということで点数と順位までもが貼り出されていた。
「あ!ちょっと、渚Aクラスじゃない。しかも、二科目とも!?」
「ほんとだ。そうみたいだね」
私はAクラス99点で
二番だった。
おしいなぁ、高橋徹って人が満点で一番だ。
……ん?
聞いたことある名前だ。
「渚、何気に頭いいんだー!しかも高橋君と一点差なんだ。すごいね!」
「ちょっと美紀ちゃん、それってどういう意味?それに、高橋って人知ってるの?」
「何言ってるの渚!高橋君は入学式の時、新入生代表で挨拶した子だよ。それにカッコイイの!渚も入学式いたでしょ」
美紀は呆れながら言う。
確かにいたんだけどね、目が開いてなかったのよ。
「そっか、だから聞いたことある名前だと思っ……ん?」
――ポンッと
いきなり、私の頭に何かが乗ってきた。
手…?
「きゃあ、福田先生ぇ!」
美紀のこの甘ったるい声は
なんなの!?
というか、このニコニコ笑ってる人は誰?
「俺の自己紹介で寝るとはいい度胸だね?」
そういいながら私の頭をガシガシと掴んでくる。
「なっ何…「渚、D組の副担で生物担当の福田先生」
美紀が小声で教えてくれた。
あっ先生なの……副担!?
「すっすいませんでした!」
私は怒られると思って、謝罪の言葉を口にしたのに福田先生は笑顔を崩さない。
「中澤は優秀なんだな。授業が楽しみだ。期待してるからな、それじゃ」
私の頭からやっと手を離し、教室を出ていく福田先生。
「渚いいなぁ、私も寝てればよかったぁ……」
羨ましがる美紀の言葉は聞き逃しつつ、思った。
笑顔は素敵なんだけど、なんだか裏がありそうな感じがしてならなかった。
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