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と、丁度そこへ、おじいさんが芝刈りの作業を終え、帰ってきた。
そして、おばあさんと目が合った瞬間、家の中に険悪な空気が流れる。
おじいさんは黙って座ろうとしたが、いかんせんまな板の上にある今まで見たことのない大きさの桃に、口を開かずにはいられなかった。
「おい、なんだそれは?」
「別に、何だっていいでしょ」
「いいわけないだろ」
「いいじゃない。それに、この家に『おい』なんて人はいません」
その言葉にカチンときたのか、おじいさんは床を叩いて立ち上がる。
「なんだとぉ!? だいたいお前な、家に置いてもらってるだけで有り難いと思えよ!」
おじいさんの言葉に、これまたおばあさんもカチンときた。
「何よ! だいたいアナタこそ、いつもいつも帰って来るなり怒鳴り散らして…!」
「嫌なら出ていけ!」
「すぐそればっかり!」
二人は徐々にエスカレートしていく。
おばあさんの包丁を持つ手が震える。
そして遂に、おばあさんが手を振り上げたその瞬間、
「待て!!!」
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