拉致とは違うん?

4/7
前へ
/146ページ
次へ
「一つ目の理由はですね、実験です。」 実験…きれいな顔してバイオレンスか? 「まだあるのか?」 「はい、ですがそれはまだ言えないんです。」 「言えない?何か訳でもあるのか。」 「まぁ、神ゆえの理由と言うやつです。」 よく分からないが、答えてくれるとは思えない。 まぁ、気にはとめておこう。 「…じゃぁ、実験って何するんだ?」 実験とは言っても、相手は「神」という安堵感がある。 「…解剖です。」 「…。」 「冗談ですよ、詳しい事は食事でもしながら。」 神はまた指を鳴らした。 次に目に飛込んできたのは、見慣れた自分のマンションの一室だった。 「あなたの部屋のコピーです。」 ここは、リビングだな。 流石俺、綺麗に片付けてある。 「…何か作ってください。」 「…出せばいいじゃん。」 神に対してはまっとうな意見だと思う。 「料理は…練習不足でたまにしかうまく出てきません…。」 神はソファに横になってしまった。 「練習不足?どういうことだ。」 「後である程度はまとめて説明します、今は、ご飯を。」 相当腹が減っているのか、さっきまでの元気はない。 力を使うと腹が減るのだろうか…。 「分かった、何か作ろう。」 「食材は冷蔵庫からいくらでもわいて出てきます。」 なるほど、確かに小型の冷蔵庫には野菜から肉まで詰め込まれていた。 「何か苦手なものはあるか?」 「神は好き嫌いはしません。」 「わかった、なるべく早く作るよう努力する。」 着ていた制服は脱ぎロングのTシャツの袖を捲り、料理に取り掛かった。
/146ページ

最初のコメントを投稿しよう!

93人が本棚に入れています
本棚に追加