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「…。」
少し考えた。誰かを呼んでくれば、少しは楽になるだろう、が。
その人の精神的苦痛はどうだ?俺みたく、受け入れられるとは考え辛い。
現に今までも拒否され続けたみたいだし…。
「そうだろうと思って、事前に準備はしておきました。」
もう目は覚めてしまったようで、普通にソファに座っている。
「だが、その人の…。」
「あなたが考えていることは、全く問題ありません。」
神は話を素早く遮り、ダイニングを挟んで近寄ってきた。
「どうしますか、もちろんあなた次第です。」
さっきの言葉が頭をよぎった。
『精神的苦痛』
…嫌なことを思い出しそうだ。
「その人だって生活があるだろ、無理強いはよくない。」
食器洗いの続きを始めた。
「…ここに、来たいそうです。」
手元の皿が落ちかけたが、なんとかスポンジでキャッチした。
進んでここに来たい、だって?
「どういうことだ、それも実験なのか?」
「いえ、これは実験とは何の関係もありません、個人的な願望です。」
願望…何故こんなところに来たいのだろうか?
それに、何故この場所の事を知っている?
神に聞いても答えてくれそうにない。
…仕方ない、直接、聞いてみるか。
「わかった、無理強いじゃないなら問題ない、それに人が多い方が楽しいしな。」
「それでは、すぐにでも。」
そういって、別の部屋、俺の寝室に入っていった。
それにしても、流石神様と言った所か、事前にいろいろ調べているらしいな。
それとも、何もかも知っているのか。
部屋の中には、ただただ水の流れる音が響いていた。
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