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「なんだ…。」
眠りかけで起きるのは面倒だったが、恐らく誰か来たのだ。
寝てはいられないだろう。
立ち上がって伸びをすると、眠気はなくなってしまった。
そのまま部屋まで向かい、静かにドアを開けた。
「神様よ、ようやくおいでに…。」
…参ったな、予想はしていたが、本当に来るとはな。
目の前には、一人の少女がいた。同年代だろう。
俺は神様の肩を引き寄せ、少女に背中を向けた。
「ちょっと…神様、女の子はますいんじゃ…。」
事前に確かめなかった俺も悪いが、何故言ってくれなかったのだ…。
あまり、女性とは話した経験はない。彼女なんて持っての他だ。
「あぁ、大丈夫ですよ。気にしないで下さい。」
満面の笑みだ、何か勘違いしているのか、わざとなのか。
そして、その笑顔のまま続けた。
「彼女は家事が出来ます。」
そんな事で、俺の心が揺らぐとでも…。
俺は今日の食卓を思い出していた。
助かるかも。正直こいつの飯を一人で、しかも三食作るのは厳しい。
神様、もしかして家事が出来るから連れてきたんじゃ…。
「…いつでも元の場所に戻せるのか?」
彼女に聞かれないよう、小さく言った。
「大丈夫です。」
少し考えたが、結論はすぐに出た。
「わかった、様子を見て無理そうなら、帰ってもらえばいいか。」
何だかクーリングオフのような言い方で彼女に悪い気がした。
こうして、この部屋の住人は3人となった。
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