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「次のは、少しそれらしいものです。」
「それらしい、か。」
「えぇ、とは言っても危害は加えません、安心してください。」
ちらりと早苗の方を見たが、実験と言う言葉を聞いても特に動きは無い。
神様から聞いていたのだろうか?
「神様、早苗は実験に参加しなくてもいいんだよな。」
早苗はじっと俺の方を見ていたが、目があって、そらされた。
「もちろんです。事前に伝えています。」
「…一ついいか、早苗は俺より前に神様に会っているのか。」
早苗は一瞬固まったがすぐに答えた。
「あの、私はその、3日前から拐われていたんです。」
何だって?俺より前に拐われていただと。
そうだとしたら、神様が言っていた「あなたに会いたがっている」という言葉、
あれは、俺個人に向けたものなのか、誰でもよかったのか。
それとも…。
「修二さん!大丈夫ですか!」
少し考えを掘り下げすぎたか。
「…何でもないんだ、考え事をする癖があってね。」
「そうだったんですか、いきなり黙り込むから何かと思いましたよ。」
「すまない、それと敬語はやめてくれないか、君も17位だろう。」
「よくわかりましたね、同い年なんですよ。」
「まるで前から知ってる様な口ぶりだな。」
冗談まじりで聞いてみた。
「あ、いえ、神様から聞いていたんです。」
なるほど、どうやら俺より前に神様に会っていたのはホントらしい。
ただ、少し違和感がある。これは、何だ。
「なるほどね、おっと、神様説明を。」
軽く忘れていた。
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