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「私からも一つ。」
「どうしたんだ神様。お菓子か?」
「いえ、どうして私には、敬語はやめてくれないか、って言ってくれないんですか。」
少し落ち込んでるようにも見えた。
しかし、これには明確な理由がある。
「神様、俺は偉そうにしているやつが嫌いだ。だから、食って寝てるだけのあんたが見下した口利いたら、ぶん殴ろうと思ってる。」
「そんな!酷いです!…事実ですが、たまには働いてます。」
本当に働いてないんだな。
「敬語続行だ。あんたにはそっちの方が似合ってる気もする。」
誉めるってのは大事な事だ。人生の教訓かな。
「わかりました、とりあえず説明します。」
まんざらでもなささうだ、今後はこの作戦でいこう。
「まず、別の空間に飛んでもらいます。そこで、『極限状態での人間の行動と心理』について調べさせてもらいます。」
「極限状態だと。」
「はい、ですが、安心してください、そう錯覚するだけですから。」
神様はそう言って、立ち上がると、玄関に向かった。
俺も後ろからついていった。
「さぁ、行きますよ。」
神様はドアノブに手をかけ、押した。
そこにはコンクリート貼りの廊下ではなく漆黒の空間が広がっていた。
「じゃぁ、行ってくる。」
「うん。」
俺は一人でその空間に入っていった。
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