尋問じゃない、話し合いだ。

6/9
前へ
/146ページ
次へ
漆黒…この空間では自分が何者かも分からなくなりそうだ。 「実験は、まだ始まらないのか。」 すでに扉が閉められてだいぶ時間が過ぎたように感じられた。 そのとき不意に、機械的な女性の声が聞こえた。 「こちらです。」 その声が聞こえたと同時に、目の前にスポットライトがあてられたような光の筋が現れた。 その光の元に何かあるようだ。 それに近付いていくにつれ、正体が分かってきた。 小型の銃と、日本刀…、一体何に使うというんだ。 銃は後ろでベルトにさし、日本刀は腰に着けた。 すると、光は消え、また機械的な女性の声が聞こえた。 「それでは、実験を開始します。」 それと同時に、俺は膝をついた。 今まで経験したことも無い疲労感と空腹が俺の体の自由を奪った。 「う…これが『極限状態』か…結構ヤバイかもな。」 もう、軽口もたたいてられないな。 刀を抜き、それを杖代わりに立ち上がった。 気を抜いたらその場に倒れ込んでしまいそうだった。 「早く…始めてくれよ。」 このまま放置するのではないか、とも考えたがどうやら違うようだ。 目の前に俺と同じ位の年齢の少年がたっているからだ。 俺と同じように、日本刀を杖代わりにして。
/146ページ

最初のコメントを投稿しよう!

93人が本棚に入れています
本棚に追加