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漆黒…この空間では自分が何者かも分からなくなりそうだ。
「実験は、まだ始まらないのか。」
すでに扉が閉められてだいぶ時間が過ぎたように感じられた。
そのとき不意に、機械的な女性の声が聞こえた。
「こちらです。」
その声が聞こえたと同時に、目の前にスポットライトがあてられたような光の筋が現れた。
その光の元に何かあるようだ。
それに近付いていくにつれ、正体が分かってきた。
小型の銃と、日本刀…、一体何に使うというんだ。
銃は後ろでベルトにさし、日本刀は腰に着けた。
すると、光は消え、また機械的な女性の声が聞こえた。
「それでは、実験を開始します。」
それと同時に、俺は膝をついた。
今まで経験したことも無い疲労感と空腹が俺の体の自由を奪った。
「う…これが『極限状態』か…結構ヤバイかもな。」
もう、軽口もたたいてられないな。
刀を抜き、それを杖代わりに立ち上がった。
気を抜いたらその場に倒れ込んでしまいそうだった。
「早く…始めてくれよ。」
このまま放置するのではないか、とも考えたがどうやら違うようだ。
目の前に俺と同じ位の年齢の少年がたっているからだ。
俺と同じように、日本刀を杖代わりにして。
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