93人が本棚に入れています
本棚に追加
「あんたは、誰だ。」
先に口を開いたのは俺だった。
「あんたを殺せば、この空間から抜け出せる…。」
…なんだと。俺を殺すだと。
「どういうことだ。」
「煩い、もうそんな時間は無いんだ。」
少年は一歩、また一歩と徐々に距離を縮めてきた。
「やめろ、止まれ。」
少年は止まらない。
そして、間合いに入った少年は刀を大きく振りかぶり、勢い良く振り下ろした。
「くそっ…。」
俺は何とか刀を構え、攻撃を防いだ。
しかし、刀は何処かへ飛ばされ、俺はその場に膝をついた。
それは少年も同じことで、刀は見当たらず、その場にうつ伏せで倒れていた。
くそっ、と少年は腰の辺りに手を回した。
まずい、状況が同じならこいつも持っているはず。
俺は片手だけで上半身を支え、出来る限り素早く銃を抜いた。
体制的に有利だった俺は、少年が銃を抜く前に額に銃口をあてた。
「待ってくれ、殺さないでくれ。」
命ごいか、さっきまでの威勢はどこに行ったんだか。
「お前は何故ここにいる。」
少し沈黙したが、答えてくれた。
「少し前に、気が付いたらここにいたんだ、それで言われたんだ、出会った男を殺したら帰してくれるってな!」
少年は勢い良く銃を抜いた。
「…馬鹿なやつ。」
すでに少年は息をしていなかった。
躊躇(ためら)ってなんかいられなかった。
最初のコメントを投稿しよう!