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気が付いたら、朝だった。
どうやら夢は見なかったようだ。
俺はすぐに着替えて、キッチンへと向かった。今日の朝御飯は俺の担当のはずだった。
…だったのだが、どうやら早苗が作ってくれたらしい。
いつも通りの量、いや、それ以上かもしれない。
朝からこの量か…少し気持ちが悪くなった。
「おはようございます。」
早苗がキッチンから料理を持って出てきた。エプロンはしていない。
「おはよう、今日は俺の番のはずだけども。」
「何言ってるんですか、今日は実験があるんでしょ。任せてください。」
早苗に、昨日の暗い影は無かった。
そうだ、丁度いい、実験の事を聞いておかねば。
「…早苗、実験の内容は知っているのか。」
早苗はきょとんとして答えた。
「何言ってるんですか、昨日の晩修二さんが教えてくれたんじゃないですか。」
「…何だって。」
俺が昨日の晩に教えただと、そんな記憶はない。
俺は部屋から出ていない。
「いつだ。」
早苗に問掛けてるようにも、自分に問掛けてるようにも見える。
どういうことだ、いったい、どうなっている。
俺が、そんな真似をするはずない。
「え、修二さんが一旦部屋に帰った後です。」
俺は昨日の晩、寝るとき以外は部屋に入っていない。
俺はあの後すぐに寝たはずだ…。
…。
早苗に聞いても仕方ない。神様なら知っているはずだ、いや、知っていなければいけない。
「…そうだったな、すまん、寝惚けていたようだ。神様を起こしてくる。」
そう言って俺は、俺の部屋の向かいにある神様の部屋のドアを開けた。
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