プロローグ

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「あ、宗教の勧誘ですか。すいませんが間に合ってますんで。」 「いえ、勧誘とかじゃないです…あの」 何か喋ろうとしたが、遮った。 「もしかして、神秘的な石とかですか?普通の石で事足りるんで。」 青年は俺の話を無視し、全く申し訳なさそうなそぶりをせずに言った。 「申し訳ないんですが、誘拐させていただきました。」 頭は大丈夫だろうか。 俺は同情の目で青年を見つつ言った。 「一体何を言って…。」 そこまで言って、自分の今の状況を冷静に判断してみた。 …。 再確認してみて、不安が増した気がした。 「カミサマ、俺全然自由だけど?」 少し落ち着かなくなった。 青年はやはり笑顔を崩さずに言った。 「はい、誘拐と言っても大した事じゃないです、ちょっと別世界に来ていただきました。」 あぁ、別世界ね。大した事… 無いわけないって。 「どちらかと言えば、大有りだよ…。」
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