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我ながら情けないが、ある筈の膨らみがなければ相手の疑いも晴れるかもしれない。すると何か感じたのか、伶がジリッと後ずさりながら言う。 「だっ……だって、声がっ!」 「……声?」 「確かに和斗君は可愛くて、一目でファンになったけど……僕だから! 女のフリをしてる僕だから、解るんですっ」 男としてはまだ高くても、女性の声とはやはり違う。しかし、和斗の声はそんな伶よりまだ高いから――そう言われたのに、十和はキュッと眉を寄せた。
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