13人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
「何をやっているんだろう。」
広いバーのカウンターにもたれ掛かって、俺は独り言をつぶやいた。
会社でのミスで苛立っていたところを、前から気になっていたバーの看板が目にはいた。
それに誘われて入ってみたものの、酒は強いものしかおいておらず、5杯程呑んで、なにやら高そうなことに気づいて会計にいきづらくなってしまった。
「どうでもいいやぁ。」
酒のせいで意識は、朦朧としていて、このまま明日は会社に行かずにここで寝てしまおうかとおもった時だった。
「かぜをひきますよ。」
やけに低い声が真横でした。
振り向くと顔立ちの整った30代後半の男が自分の肩に手を置いて心配そうにこちらを見ていた。
「お店そろそろ閉まるよ」
あぁマスターか・・・・財布を手に、急いで後ろの時計を確認した。
「わかりましたすぐに払いま・・・・」
しまった。1000円ほど足りない。これでは帰ることも出来ない。
自分が青くなっていると、男が察したのか、可笑しそうに笑ったあと、5000円札をさっきまで自分が飲んでいたグラスの下にすべりこませた。
「又きてください。お返しは、そのときでいいです。」
それが彼との出会いだった。
最初のコメントを投稿しよう!