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思い違い
「ふざけんな!!」
そう言うと玲二は恥ずかしいとわかっていても、会社の喫煙室から走りながら後にした。
こうなった原因は、今から一時間前に起こった。
玲二はしばらくして、あの顔をどこで見たか思い出した。親切にもバーで金を貸してくれたあの男だったのだ。
さっそく、金を返すために千賀を休み時間に呼び出し、金を返そうとしたのだが・・・・
「千賀部長、あの時はすみませんでした。」
「大丈夫なのに。わざわざありが・・・・」
「誠ー💕」
いきなり会社の入り口から高校生ぐらいの男の子が入ってきた。千賀を目で確認するとそう叫んだ。同時に勢いよく駆け出し、千賀のもとにやってきた。
「誠ー💕寂しかったんだからね!会いたかった!」
そう言うと、少年は千賀の胸に頭を沈めると背中に手を回した。
「へ・・・・えっ」
玲二は驚きを隠せずにいた。それに気づいたのか千賀は少年の肩に手を置くと玲二の方に体を向けさした。少年の顔はかなり整っていた。玲二をうさんくさうな目でみつめていた。
「こいつは誠二といって、私の・・・・」
千賀がそう言いかけた所を誠二が割り込んだ。
「恋人です💕」
「へ?」
玲二は少しの間、思考回路が上手くまわらなった。そして千賀の様子も目に入らずに喫煙室を飛び出したのだった。
誠二は満足そうな顔をして千賀にもたれかかっていた。一方、千賀は複雑そうな顔をしてこめかみに手を当て、これから予想されることにただ、ただ頭を悩ませていた。
その頃、玲二は自分の手に五千円札が握られているのに気づき、また玲二もこめかみに手を当て、大きくため息をついた。
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