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早朝、一人の青年がテレビを見ながら珈琲を飲んでいた。
少し濃いめに入れたお陰で、寝呆けていた頭が冴える。
長く腰まで伸びた髪を後ろで縛り、歩くたびにそれが揺れている。
テレビでは歴史番組が放送されていた。
今日の世界的ビックイベントを記念してだろうと青年は理解する。
「やあ、ジン君。今日も早いね?」
青年が振り返ると、一人の中年男性が階段から降りてきた。
体付きは筋肉でがっしりとし、Tシャツは目一杯広がっている。
「あ!おはようございます。伯父さん」
青年ジン=ジェネスは笑いながら挨拶をした。
「私にも一杯良いかい?」
「あ、はいはい。ちょっと待ってて下さい」
ジンはテーブルに自分のカップを置き、キッチンにたった。
只でさえ一人暮らし用の家なのに、大の男が二人も居ると狭い事この上ない。
案の定、ジンは先程から肘を何処かしらにぶつけながら珈琲を入れている。
「君も大きくなったね。今日が誕生日だったな?」
「はい。今日で18です。いい加減、金貯めて部屋探さそうと思います。流石に、この家で二人暮しはそろそろキツいですし‥。あ、何か入れます?」
「じゃあ角砂糖三つ、お願いしよう」
「あはは…。甘党ですね」
ジンは苦笑しながら珈琲に砂糖を入れ、テーブルに置いた。
伯父はジンの隣に座り、共にテレビに目をやる。
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