第零話:プロローグ

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「これ位、軽い‥、です」 「力を使い過ぎだな…。ニコ、頼む」 「解ってる」 ニコと呼ばれた白い光を放つ女性がギルに手をかざすと、光は彼を包む。 彼女が手を下げると光は消え、ギルの疲労を癒してくれた。 「よし‥。良いか皆、一人の力で奴を倒せない。皆の力を合わせて、初めて勝てるんだ」 六人はロントに頷き、マルクに向き直す。 「ロントさん。シールド外しますよ」 「ああ。タイミングは任せる。アルフレッドも大丈夫か?」 「さっきみてぇな失敗はしないさ」 「よし。…ニコ、絶対、帰ろう」 「えぇ。信じてるから」 五人はそれぞれの武器を握り直す。 「‥2、1、…解除!」 ギルが叫んだ瞬間、緑の膜は消え、六人はマルクに向かっていった。 瞬く間に間合いが詰まり、先頭のロントは剣を振り上げる。 マルクも何処からか剣を取り出し、横に振り抜いた。 二本の剣がぶつかり合った途端、周りの空気が大きく震え、衝撃波が発生した。 周りに漂っていた粉塵は何処かへと飛んでいき、部屋の中央では二人の男が鎬(シノギ)を削っている。 『大した、力、だな!。だが、一人では、』 「一人なら、な‥。今だやれ!」 ロントの声を合図に、マルクの背後からギルが斬り掛かる。 『甘い!』 マルクが片手を突き出し、そこから黒い光が飛び出す。 ギルは緑の膜を目の前に張り、それを防いでいく。
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