第零話:プロローグ

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「何の、これしき!」 「ルカ姉さん!。ギルの援護を!」 ロントは赤い光を発している女性にそう叫んだ。 女性は頷き、手にはめていた手袋の指先を触る。 するとそこからは赤く透き通ったワイヤーが伸び、ルカはそれをマルクの突き出した腕目がけて伸ばした。 ワイヤーはマルクの腕に巻き付き、ルカはそれを力一杯引っ張る。 『ぐぁー!!』 マルクは引っ張られる勢いに負け、そのまま宙に浮かぶ。 「捕まえた!。アルフレッド!」 ルカの声に、アルフレッドはガトリングを上に向けた。 銃口に集まった黒い塊がマルク目がけて飛んでいき、着弾と同時に大爆発を起こす。 マルクは真っ逆さまに床に落ち、煙の中から顔を押さえながらフラフラ立ち上がる。 『おのれぇっ!…。小賢(コザカ)しい真似をぉ…』 「ニコ!、ファイ!。休ませるな!」 ロントの声を合図に、煙の中から白と黄色の光が飛び出す。 「ファイ!。タイミングを合わせて!」 黄色い光を腕に溜めた女性は、ニコの声に親指を立てながら笑って答えた。 ファイはマルクの下に潜り込み、彼の顎目がけて拳を振り上げた。 『しまっ、!!』 ファイの拳が光った瞬間、マルクは口から血を吐きながら打ち上げられる。 間髪入れずに、ニコはマルクを蹴り飛ばす。 吹き飛ばされたマルクはゴロゴロと床を転がっていき、蹴られた箇所を押さえながら剣を杖に立ち上がる。
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