第十二章─新しい何か─

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目が覚めると、そこは病院だった。 少し前まで入院していた病院だと気づくのにおよそ二秒。 まさかこんなに短いインターバルでまた入院だとは、自分で自分に嫌気がさす。 今年で何回目だっけ? 「はぁ」 右腕に巻かれたロボットみたいなギプスに書かれている落書きが時間の経過を匂わせる。 前みたいに二週間って考えると溜め息が出た。 「ケータイっと……」 都合のいいことに、ケータイは側の棚の上に置いてあったが、なんと電池切れ。 充電器なんてさすがにない。 あれからどうなったのかは知らないが、オレが生きているということは、あれ以上に悪いことにはならなかったのだろう。 右腕の落書きをもう一度見てみる。 主にクラスの連中や知ってる先輩、結城達が中心だが、そこに月乃の名前は見当たらない。 「まぁ、いくらあいつでも、そんなすぐに立ち直れるわけねぇか」 ベッドから降り、病室から出てみた。 ドアには面会謝絶の札。 謝絶した覚えはないので外して部屋の中に放り込んでやった。 とりあえず、喉が乾いた。
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