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家族を理不尽に失う悲しみがどれほどか、オレには分からない。
しかし、要さんは痛いほどにそれがわかるはずだ。
でも、それでも、オレには月乃を放っておくことなんて、やはりできない。
「月乃! いい加減に……目を覚ませ!」
オレは何もできない。だけどあいつはオレの友達だ。
無駄だと分かっていても、叫ばずにはいられない。
気を失いそうなほどの激痛に耐えながら、声を張り上げる。
「ここで暴れて何になるってんだ! 暴れる暇があるなら、緋織さんを探せよ!」
必死に叫ぶが、光の中心にいる月乃はピクリとも動かない。
だが、その目には涙が滲んでいるように見える。
「……要さん、すいません」
「川添!?」
要さんの横を通り抜け、もう一度走り出した。
完全に生身での突進。
それが自殺行為だということは分かるが、離れていてはオレの声は届かない。
近づいてどうにかなる問題かと聞かれると、正直自信はない。
だが、安全な場所から叫ぶだけで解決するようなら、誰も苦労しない。
こんなことをするから、要さんにあんなことを言われるんだろう。
だけど、オレはオレの友達が好きだから、何としても助けたいんだ。
そこに優先順位なんてない。
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