第十二章─新しい何か─

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何と、あの騒ぎから三日しか経過していないらしい。 それでも三日間目を覚まさなかったんだからたまらない。 「今は何やってんだ? 学校もなくなっちまったし、授業どころじゃねぇだろ?」 「まぁな。だから今は休学だ。 メビウスもほぼ壊滅状態らしくて、柴崎さんも忙しそうだ」 そうだった。メビウスはデュポーンに潰されたんだった。 思い出すだけで吐き気がするあの顔。 「理事長に至っては昏睡状態よ。外傷もないのに、目を覚ます兆しがまるでないらしくて」 怜奈は遠慮がちにそう言った。 そう言えば理事長の行動の謎がまだ残っていた。 だが、ここにいる皆はそれを見ていないはずだから何も知らないだろう。 「そういや、皆は怪我なんかはないのか?」 「まぁね。あたしらのケガは月乃が治してくれたらしいから」 「っ!」 そうだ。雨宮と霧科は月乃を知っているんだ。 それなら、聞いてもいいのだろうか? 月乃が今どうしているのかを。 「どうかしたのかい拓海っち? 難しい顔してんぜ」 「……何でもない」
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