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少女は神に愛されてなどいなかった。
少女は生まれたその時から、生涯癒えることのない病を背負っていた。
それはとても気まぐれな病気。
ある日は死の痛みが彼女を襲い、またある日は体の自由の一切を奪われる。
あくる日は何の異常もなく、穏やかな日を過ごせると思いきや、その翌日は意識が朦朧とした闇に包まれた。
原因は不明。
医者も完全に匙を投げた。
だが少女にはそれが当たり前だった。
それ故に自分の特異性を知って、その身の不運を嘆いた。
それでも少女は上を向いた。
異常の無い日は外で目いっぱい遊び、死の苦しみの中でも笑顔を絶やさない。
毎日自分の様子を伺いに来る両親を心の支えとし、人を愛し、人に愛されようとした。
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