日没が目覚め

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 28世紀、都市の外界隔絶が増えていく小さな島国があった。  都市や学園が一個の世界へと、壁を作り外との繋がりを制限しているのだ。  そんな中、同じように人間の世界に設立された、“京都”と呼ばれる都市の南の平地では。  吸血鬼の世界が。  夜紅学園という名の、吸血鬼の巣窟があった。  そこは、人間との共存を出来る可能性を持つ魔物、吸血鬼達のための、学園だった。  鏡に映った自分の姿を見て、少女は黙り込んでいた。  ほとんど人間であるが、少し吸血鬼の血が混じった、国の等級付けに従うと三等級に位置する少女だ。  紅いダークチェリーの長めの髪を、眺めるその瞳はまた鮮やかな紅色。  腰あたりまで伸ばされた髪は、ほんの少しクセがあるらしい。  毛先がくるんと丸まっていた。  しかし彼女が先程から黙って格闘しているのは、その毛先ではない。
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