亡夢の影

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 ようやく、欲しいものを手に入れたのだろうか。  見てるこっちが不思議な気分になってきて、ヒナタは口許を緩ませる。 (どうか……)  ヒナタは、心の中でそっと呟く。  どうか、幸せが長く、永く続きますように。 「ヒナタ」  突然呼ばれて、ヒナタは文字通りびくっと飛び上がる。  勢いよく振り返った先には、自分と全く同じ格好の──前髪の分け目だけが違うミカゲがいた。 「も、もう挨拶終わった!?」 「終わった」  ミカゲが無表情の中に小さな胡乱の色を宿し、首を傾げる。 「どうかしたのか」 「へ!? いや、ななな何もっ」  こんな動揺していたらバレバレだ、とヒナタは直ぐに気付いたが、しかし演技が下手くそなヒナタは誤魔化し方が分からない。  ミカゲはちらと階下に視線を落とし、溜め息をつく。 「どうせ、あの二人を見ていた……とか、そういうことなのだろうと推測はするけど」  あらやっぱりバレバレだ、と引きつった笑みを浮かべるヒナタに、ミカゲはぽつりと呟く。
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