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「それで、姫ちゃんに伝えて欲しいことがあるって言われてて」
桃哉は小さく首を傾け、窺うように百合姫の目を覗き込む。
「言ってもいい?」
「……なんか、言ってヤバいことなの?」
くす、と笑い桃哉は視線を他所へ滑らせる。
「まぁ、普通じゃないから」
え、と瞠目した百合姫に桃哉は「時間が無いから手短に」と話し出した。
「まず、姫ちゃんは知ってるかな。吸血鬼の双子は不吉だって話」
「う、ううん、知らない」
「そっか。まぁそういう話があるんだよ。吸血鬼の双子は、片方がもう片方を取り込んで生まれてくる、とか。双子同士共鳴し合ったり、片方に与えられたことがもう片方にも影響するとかね」
とにかく普通には生まれてこないことがほとんどかな、と桃哉は付け足す。
「まぁ、そもそも吸血鬼はあまり双子が出来ないことが多いんだけど」
「そうなの?」
「そう。だからこそ、稀に出来る双子が特異であるからこそ、不吉に思われるんだよ」
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