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では、と百合姫は思い至る。
あの、紫眼の双子もそうなのだろうか。
何処か他の吸血鬼と違う生まれをして、違う身体を持っているのだろうか。
「姫ちゃん、ちょっと勘づいたみたいだね」
桃哉は笑って話を続ける。
「そう、あの双子も普通の生まれ方をしてない」
一度他所へ向けた視線を再び百合姫に向けると、まるで周りに聞こえないように声を潜めて小さく呟く。
「元々、あの二人は一人の吸血鬼として生まれたんだよ」
その言葉を理解するのに、百合姫は数秒を要した。
理解、と言っても双子の出生を理解したわけではない……出来るわけ無かった。
首を傾げて問う。
「一人、て。どゆこと?」
「やっぱ分かんないだろうね」
苦笑して、桃哉も百合姫と同じように首を傾げてみせる。
と、そこで梛が何処からか戻ってきて、桃哉をやや胡乱げに見てから席についた。
桃哉は何故か楽しそうに梛に話の矛先を向ける。
「梛くんは、分かる?」
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