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突然話を振られた梛は、当然「は?」と半目になる。
桃哉が話の経緯を簡単に話すと、梛は何か心得たように頬杖をつく。
「生まれてから、一人が二人に分裂した……?」
「そ。どうしてだと思う?」
梛は数秒思案する素振りを見せ、ぽつりと呟く。
「生まれ持った力が身体に収まりきらなくて形代(かたしろ)に一部を移した、ていう話はよく聞くけどな。分裂って──」
「梛くん、せーいかーい」
語尾に音符マークでも付きそうなトーンで、桃哉が梛の言葉を遮った。
突然の桃哉の割り込みにぎょっとした百合姫と梛は、そのまま流されるように桃哉の話を聞く。
「梛の言う通り。ヒナタちゃんは最初は普通に生まれた。けど、本来成長するにつれて強く大きくなるはずの力を、生まれたと同時に身体に宿してしまった」
簡単に言うと、生まれたての子供に、大人じゃないと持てないくらい重い荷物を持てと言うのと同じこと、と桃哉が解説してくれてようやく百合姫は理解する。
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