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「生まれて三日くらい、ヒナタちゃんは下がらない熱で水も何も受け付けない状況になったらしいよ。でも、その三日目にあっさり下がったらしいんだけど」
そこからは、百合姫でも予想出来た。
桃哉が言葉を区切ったところの続きを引き継いで言ってみる。
「その三日目に、ミカゲくんが出来た……?」
「そ、力を半分分けてね」
曰く、ベッドに寝かされたヒナタの隣に突然、全く同じ姿な子供が寝ていたという。
誰かが一瞬目を離した間に。
その時のミカゲは、まだあやふやで曖昧で、影のような存在だった。
触れられるけれど、空気のように軽くて光のように透けて。
まるで、実体の無い魂のような存在で。
しかし、ヒナタの熱が下がるにつれてその存在が確かなものに変わっていったのだという。
それは。
「ヒナタちゃんとまるで同じ」
呟いた桃哉は、すぐに「いや……」と否定する。
「正しくは、性別以外が同じの──分身みたいなモノ。かな」
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