月明りのララ

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 真夜中の森に一匹の子猫が歩いていた。名前はララ。真っ白な子猫。綿毛のようなその毛並みは、月の光に照らされほのかに青味がかった輝きを帯びているようにも見える。  ララは木々の間を抜けて歩き続け、小さな泉を見つけた。小さな小さなララにとっては大きな泉だった。澄んだ水に満たされた泉のちょうど真ん中あたりには、丸い月が映り込みゆらゆらと揺れている。  歩き疲れて喉が渇いていたララは、一休みして泉の水を飲むことにした。  ゆっくりと頭を下げて水面に舌を伸ばし、水をすくっては喉に流し込む。冷たい水がララの渇いた体に染み渡っていく。あまりの美味しさに、夢中になって飲み続けた。  美味しい水をたらふく飲んだララは仰向けに寝転び、心地良い夜風に目を細め、ぼんやりと夜空を見上げていた。  すると、ふいに空がかげり、頭上の満月が端から徐々に欠け始めた。  驚いて飛び起き、後ろ足で立ってめいっぱい伸び上がり月をじっと見つめる。みるみるうちに欠けて消えていく月。暗さを増していく空。静かな森にじわりじわりと闇が押し寄せる。
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