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初めて嘘を吐いたのは
子供の頃母親にだった
いけないことをしたという罪悪感と
ばれたらどうしようという恐ろしさで
とても胸が苦しかったのを憶えている
でも拙い嘘はすぐに見破られ
僕はすごく怒られた
そうしていっぱい泣いたけど
心のどこかでほっとしていた
あれから何年もたって
大人になった今
僕は笑顔で嘘を吐く
真顔で嘘を吐く
泣きながら嘘を吐く
どうせ誰も気付かない
いや
気付いたところで知らないふりをするって知ってるから
僕は平気で嘘を吐く
いつか感じた胸の痛みは
今はほとんど感じない
それに気付いたとき
またちょっとだけ胸が痛んだ
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