池畠涼花の件

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「座ってお待ちください」 落ち着いた調子で、尚も姿をみせずに促された。 涼花はしかたなく、テーブルに飾られた色とりどりの花を見ながら、腰を降ろすことにした。 好きなガーベラだ。 クローバー型の真っ白な浅皿に水が張られ、支え合うように天井を見上げている。 グラデーションの鮮やかさに、見ていて飽きない。 「おまたせしました」 「…あ」 「どうぞ、そのまま」 ティーセットを降ろしながら、慌てて立ち上がろうとした涼花を笑顔でとめた。
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