池畠涼花の件

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柔らかいウェーブの髪と屈託の無い笑顔は、優しそうな印象を受けた。 ジーンズにTシャツとずいぶんラフな格好をしている。 テレビで観るような妖しい雰囲気の占い師とは違って、それが余計に奇妙なかんじだ。 この店が気になったのはつい最近のこと。 商店街の真ん中に構えた店は、窓からのぞく限りなんのお店なのかわからない。 窓際に飾られた鉢植えや、立派な神棚。 老舗旅館などに掲げられているような木目の看板に、重厚感のある黒塗りの文字で《繋や》とあるばかり。 占いとどこにも書かれていない。 友人の雪菜が部活の先輩につきあわされて、ここに来たのは先週のことだった。 それから学校の女子のあいだでは、噂でもちきりとなっていた。
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