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私の家の近くに少し大きめの公園がある、そこは普段子供達の声やペット達の鳴き声が元気よく響き活気があるのだが、夕方にもなるとぱったりと人がいなくなり、一気に不気味さが支配していた。私は最近夕闇になるとあの公園で一人で遊んでいる少女を見かける、長い黒銀の髪をたなびかせ、普通の子達とは異なる服を着ていて、いつも同じ時間、同じ場所で一人で遊んでいるのだ…
「睡蓮どうしたの?窓をじっと見て。」
「えっ?」
百合音が私を不思議そうに見つめていた。
「あ…何でもない何でもない…」
「ふ~ん」
「それよりもさぁ、お腹空いたね…千景さんの喫茶店に行こっか?」
「…そだね、確かにお腹が空いたかも。」
「んじゃけって~い」
私達は家から出て喫茶店に向かった。私と百合音は幼なじみでいつも一緒にいる、百合音は小さいとき母親に虐待されていてよく私の家に来て常に怯えていた。百合音にはお姉さんがいて毎日私の家に隠れてた彼女を迎えにきて、優しく抱きしめていた…だけど百合音のお姉さんは事故で亡くなり、百合音の母親も完全に改心しているものの、彼女が受けてきた傷は深く、今私達が高校生になっても百合音はあまり家にいようとせずいつも私の家で過ごしている。おばさんも自分のしてきた事をひどく後悔しているようで、百合音には強く言う事ができないでいる。
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